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アルジュナテレサさんによると、この危機の本質は組織の暴走が止まらないことにあるらしい。使命を終えた組織が運命を受けいれず同じものを生産し続けようとすることが、最後に地球を壊してしまうそうだ。

諫早湾干拓事業Judy and Maryを比べてみるとよくわかる気がする。終わったものを正しく終えることは美しく悲しく難しく稀有なことだ。終わったものを無理に続けることは、醜く滑稽で凡庸だ。しかし凡庸な俺たちは、稀有なことをあたりまえのように行なうことを求められている。それは、組織論ではなくて個人が死を自覚しながら生きることからはじめなくてはならない。ドン・ファンは「死はわしの友だちだ」と言って、自分の肩に乗っている「死」をトントンとたたいたそうだけど、そういうリアルで個人的でささいな感じで死を意識することから。

それを踏まえてあえて組織論をやると、シュンペーターは資本主義の本質がイノベーションであると言ったことを思いだす。イノベーションとは新しいものを産みだすことではなく、終わったものを終えることなんだろう。確かに共産主義よりは資本主義の方が多少は風通しがいいのかもしれない。しかし、終わったものがもっともっと楽に終わるような新しい社会のしくみが必要とされている。

ところでCVS本には、CVSのコマンドの説明だけでなくて半分はオープンソースのプロジェクトの進め方が書いてあるのだが、プロジェクトの閉じ方までちゃんと書いてある。これもきっとすごく大事なことなんだと思う。つまり、あれを読めばオープンソースプロジェクトの終わらせ方がよくわかるということではなくて、オープンソースにかかわっている人の中にしまい方ということにセンシティブな人がいるってことが。