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最後に石井館長が出てきて「このカードは再戦させます」と大見得を切っていたが、ゴングが聞こえずよくわからない終わり方をしたというトラブルをすぐ商品価値に転化した手際が見事。ゴングが聞こえない程の熱狂を瞬間的に「このカードは売れる」と見切った判断力も凄い。ちゃんと生きてない奴はそこまでしか見れないだろうが、俺は「みなさんも見たいでしょう。私も見たい」と言い切った無邪気さにも注目する。

館長は本当に自分がバンナVSベルを完全決着まで見たいのだ。その背後にどれだけ冷静な金勘定があるとしても。

不況とか恐慌とか言っても、売れるものは売れるってことだな。なんでも実況席でもゴングが聞こえなかったらしい。これまでも満員の観客を集めた試合はK1に限らずたくさんあったんだろうが、こんな史上初のトラブルが起こるということは、それだけ見てる人、一人一人がそれだけ大声でわめいたんだろうね。やっぱり個人が自分の判断でそれだけの声量をはりあげるだけのものが、あの試合にはあったんだろう。

義理や見栄や虚栄や惰性で金を出したりその場所に行くことはあるだろうが、義理や見栄や虚栄や惰性では普通、大声は出さないよ。義理や見栄や虚栄や惰性に頼らないと売れないものを売ろうとするビジネスマンはすぐ猛省して、館長を見ならえ。自分の本当に欲しいものしか売るんじゃない。