セブンイレブンのおでん

村上龍*がセブンイレブンの銀行業参入に触れて

キャッシャーの脇に暖かいおでんを置くことを考えついた人はほとんど天才ではないかと、セブンイレブンに行くたびに思います。あのおでんの匂いと立ち上る湯気が作り出す「家庭的情緒」によって、つい犯罪を思いとどまったり、自殺を考え直した人は案外多いのではないでしょうか。

企業でのコミュニケーションの日米の違いに触れて

カルロス・ゴーン氏は、日産の改革に乗り出すとき、まず最初に、正確に言葉を定義した上で会議などで発言するようにと言ったそうです。日本の社会には、職場や学校などですが、標語や目標が溢れています。そこで使われている言葉の概念や定義が不正確だと、伝わりませんよね。

例えば「お客様を大事にしよう」と言っても、それが何を意味しているかは人によって随分違う。これをあいまいにしたまま話すのが日本流だということ。

さらに、日本で映画監督をすると「監督」と呼ばれるが、アメリカで監督をするとどんな若いスタッフからでも「リュー」とファーストネームで呼ばれることを例にして、

そういったことは、国民性とか、伝統とかではなくて、共同作業でのスムーズなコミュニケーション技術といったことを考えた結果、そうなったのではないかと思うこともあります。日米、日欧などのコミュニケーションのやり方の違いを、伝統や国民性、民族性の違いということにしてしまうのは良くないような気がするんです。

これは、全部、彼が主催するJapanMailMediaという経済関係のメールマガジンにあったものです。村上龍が集めただけあって、これに出てくる専門家の言うことは、他よりはるかにわかりやすく面白いけど、やはり村上龍の発想に一番驚かされます。こういうのを天才と言うんでしょう。

ついでだから、前から記録しようとしていたもう一つの言葉も入れます。


「人間の義務はね、万物の霊長としてすべての生き物のために祈る事なんだよ」とレラさんは言う。「それが、天と地の間に垂直に立つことのできる人間の役目だ。祈り、すべての生命の魂を天に送ることが人間の義務なんだ。神はそのために人間を守ってくれるんだよ」

これは、もうひとりの天才ライター*田口ランディ*が聞いた、現代に生きるアイヌのシャーマンの言葉です。