エリック・レイモンドのインタビュー

HotWiredにエリック・レイモンドのインタビューが出ていた。いろいろ面白いところはあるが、ストールマンとの考え方の違いについて述べている所で、彼の*オープンソース*についての考え方がよくわかる。乱暴に要約しちゃうと、ストールマン:「フリーな社会が目標であり、オープンソースは手段」レイモンド:「オープンソース自身に価値があり、フリーな社会はオマケでついてくる」もちろん、フリーな社会も悪くないけど、オープンソースの価値はそれと別にオープンソース自体の中に存在しているということだ。

そして彼は、オープンソースそのものに価値があることの例として、一般的には失敗と思われているネットスケープのソース公開をあげていた。ネットスケープはブラウザのソースを公開したが、外部の開発者は集まらず、次期バージョン(5.0)の開発は一向に進まず、IEにシェアを取られて、会社自体がAOLに買収されてしまった。最近は、重要な開発者がネットスケープをやめてしまい、敗北宣言ともとれるような文書を公開している。誰が見ても失敗なのだが、レイモンドは成功例だと言う。インタビュアーの山形さんも?!?という感じの突っ込みを思わず入れている。なぜあれが成功なのか?

ネットスケープのブラウザがこれからも残るんだというのを、信用できる形で世界にアナウンスできた」からだそうだ。そりゃそうだ。 IEが市場を制覇しても、ネットスケープがつぶれても、AOLがボランティアをやめても、ソースは残る。ハルマゲドンが来ようが愛が芽生えようが喧嘩別れしようが牛丼食おうがソースは残る。いったん世界中にばらまいたものはもう元には戻らない。絶対にソースは残る。

ソースがあるということは、OSやプロトコルやHTML、その他もろもろの環境の変化に対応していけるわけであり、ネットスケープ社という一企業の運命や戦略とは関係なくあのブラウザを使っていけるわけだ。最初からそれが目的だったのか!