残業代を払えない経営者は無能である
「残業代が出ないなら、ボーナスを貰える会社に移ればいいのに」
と言ったら、現代のマリー・アントワネットだろうか。
しかし、労働者の労働に正当な対価が払われないとしたら、可能性は二つ。
- 労働者の生み出す価値が搾取されている
- 労働者の労働が価値を生み出してない
マルクス・レーニンの時代には、主な問題は1だったけど、生産手段が安価になった今は2の方が問題だ。そして、2の原因は二つ。
- 労働が価値を生まないのは労働者が無能であるから
- 労働が価値を生まないのは経営者が無能であるから
個別には労働者が無能だから価値が生まれないケースもあるだろうが、日本全体の問題として考えるなら、大きな要因は2である。「国際競争力の強化」とか言うけど、その言い訳がそのまま事情を暴露している。学ぶ機会や情報の少ない発展途上国の労働力より、はるかに優秀な労働力を大量に与えられていて、それに見当った価値を生み出す場を創り出せない経営者は無能だ。
労働者は怒り団結すべきだけど、怒るのは、経営者が強欲であることに対して怒るのではなくて、経営者が無能であることに怒るべきだ。
だから、労働者は無能な経営者の元を去るべき。
どこへ行っても無能な経営者ばかりなら、経営者を変えるべき。
無能な経営者を法律で縛ってむりやり残業代を払わさせるよりは、無能な経営者が自然淘汰される社会を目指すべき。
つまり、起業という選択をした人に対して、過剰な敬意を持つことは、そのマイナスを補って余りあるメリットがあるのだ。
労働者が自分で起業するという手段もあるが、それは最終手段であって「敬意」の方がはるかにローリスクでリターンが大きい。「敬意」というエサに引っかかった、たくさんのベンチャー起業に競わせて、最後に残った一番いい会社に入ればいいのだ。ストックオプションは貰えなくても安定した雇用と相応のペイは手に入る。
だから、ホワイトカラーエクザンプションに向かった怒りのエネルギーは、ホリエモン逮捕に向かうべきだったと思う。「ホリエモンなら残業代をきっちり払うだろう」ということではなくて、まず経営者が回転する道筋を立てるのが、第一歩だから。
日本人は、政治家と経営者を尊敬しない癖に、変に政治家と経営者に期待をする。
尊敬しないなら期待しないで取って代わるべきで、自分でやる気がないならその職種に就く人をデフォルトで尊敬すべき。特に新しく参入する人に敬意を持つべきだ。
勝海舟は、幕府の偉い人に「アメリカとはどんな国だ」と聞かれて、「我が国と違って、賢い人が将軍になる国でございます」と答えたと言うが、今でも「シリコンバレーとはどんな所だ」と聞かれたら、「我が国と違ってバカには社長が勤まらない所でございます」と言うしかない。だけど、当時と違って、こうなってしまったことの責任は我々一人一人にある。
(1/29 追記)
箇条書きでうまく整理してくれた人がいました。要旨は↓この通りです。
- 日本企業は日本人という諸外国より高度な教育を受けてる人材を与えられている
- それを用いても国際競争力が足りない(と自分で言ってる)日本企業の経営陣ははっきり言って無能
- 日本の無能な経営者層を入れ換えるために、我々はベンチャーを応援するべき
- ホワイトカラーエグゼンプションを叩くヒマがあったらホリエモンが15億程度の粉飾で逮捕されてるのに日興コーディアルが140億円の粉飾でもたいした罰受けてないのを叩くべき
- とにかく目指すべきは経営者層の入れ換え。ベンチャーが今の大企業と入れ替わるように仕向けないとダメ
- そんなわけだから起業する人をガンガン持ち上げて競争させよう。生き残った会社(=有能な経営者のいる会社)に自分たちが入ればいいじゃん
- 無能な経営者を生み出してしまった責任はみんなにある。覚悟決めようぜ!