日本の情報鎖国を映し出す名エントリ5本

今日は巡回したら、以上の5本のエントリーが印象に残って私のfirefoxのタブに残った。いつもならここで、全然関係のないエントリーをひとつのエントリーにまとめあげるおかしなロジックを捻り出す所なのだが、今日のこれらのエントリーは、「情報鎖国」というテーマで普通につながっていることに気がついた。

まず、FIFTH EDITIONさんのエントリーは名文なので、是非、全文を読んでほしい。pc-9801シリーズの歴史がコンパクトにまとめられている。歴史とは年表の暗記や事実の列挙ではなくて、ひとつのストーリーである。また、過去を回顧してなつかしむものではなくて、そこから未来へつながる教訓を読み出すものだと思うのだが、そういう意味で、これはまさしく「歴史」である。

鎖国している中での安定は磐石に見えて実は脆いものだ。

ハコフグマンさんのエントリーは、地デジがいかにユーザニーズからかけ離れたものであるか、が、プロの曇りの無い目で余す所無く述べられている。

  1. 長尺ものは嫌われる
  2. 視聴者はそれほど画質に拘泥していない
  3. 見たい時に見たいものを、という膨大なニーズの存在

という三点をYouTubeが教えてくれたという話。

YouTubeは誰にでも平等にこれらの教訓を教えてくれるのだが、そこから学ぶ力は、やはりアマチュアとプロでは違いがあるように感じた。箇条書きにするとどれもどこかで見たことあるような話ではあるが、本文を読むと中身は濃い。さらっとこのような深い教訓を読み取る力は、長年映像に携わってきた方にしかないように私には思える。

しあわせのくつさんは、実はここに取り上げたものよりもっと才気あふれるエントリーを他にたくさん書かれているのだが、それだけにこのエントリーの「日本はブロードバンド大国として世界に先駆けていた間何をやっていたんでしょう?」というストレートな嘆きが印象的だった。

しかし、こういう記事を目にして思うのは、本当にアメリカ、特にシリコンバレーは早いということです。日本の方がブロードバンドは遥かに進んでいたのにサービス面では大した進歩はありませんでした。

本当にそう思う。

そんな金があるのならば、アニメやマンガの博物館(例えば京都精華大のマンガ図書館に資金を投入するとか)などの設立やら、その手の文化に興味を持っている留学生や研究者の受け入れ、零細企業が海外で版権がらみの訴訟となった際に支援する基金をつくるとか、民間の手が届かない「基礎的」な部分に投じるべきです。

魁!清谷防衛経済研究所さんのエントリは、ベターな税金の使い方として提言されているこの項目のひとつひとつがいちいち具体的で「なるほど」と思わされた。

実物日記さんのエントリーは、「シムロック不正改造で初摘発」というニュースの背景を掘り下げたリンク集。私は携帯関係はからきし駄目なのだが、これを読むと、グローバルな規格をわざわざローカル専用に改造しているものを、本来のグローバルな形に戻すことが「不正改造」にあたるらしい。そして、その改造が本当に「不正」であるかどうか、法的な根拠がもうひとつ不明確であるようだ。

全部、情報鎖国の為に間違った金の使い方、間違った努力がなされているという話で、日本のある一面を見事に映し出している。

でも、ある日たまたまひとりのブロガーが軽く定常運用の巡回をすると、これだけの名文が楽に集まってしまうというのも、日本の一つの面を示している。

何を恐れることがあるだろうか。