グーグルの閉店大セール=全てのサービスの有料化

グーグルの経営者が「閉店在庫処分大セール」をしようとしたらどうなるだろうか?つまり、店をたたんで明日から悠々自適の生活を送ろうと考えたらどうするだろうか。


もちろん彼らは、何もしなくても手持ちの資産だけで、一生、贅沢三昧で暮らしていけるだろう。だから、これを「会社の潜在的な資産を全て現金化する」と言いかえてみる。

普通の店だったら、全ての商品を値下げして、大安売りすることになる。ところがグーグルの場合は、全てのサービスの有料化になるだろう。検索エンジンからGMailから最近始まったカレンダーサービスから、何もかも有料化する。広告関係は仲介手数料の大幅値上げ。

有料化することで、ユーザは激減し、どのジャンルでも無料の対抗サービスが立ち上がり、企業イメージは最悪のものになる。インターネット自体が変質すると言ってもいいような大騒動になるだろう。

だが、どのサービスにも、「これがなくては何も始まらない」という人がたくさんいるはずだ。そういう人の何割かは、しぶしぶ金を払うだろう。もちろん、一刻も早く同等の無料サービスに移行しようとするが、これまでグーグルが溜めこんだデータと開発した情報発電所のレベルのサービスはすぐには出てこない。少し待てば似たものは出てくるが、良いものを作る所ほど便乗して有料化している。グーグルはものすごい怨念と同時に、かなりの金額を集めるはずだ。そして、現金と引き換えに集める怨念が一定量に達した時、グーグルという会社は消えてなくなる。グーグルを使う人は地球上からいなくなって資産の処分が完了する。

グーグルの「潜在的な資産を全て現金化する」とはそういうことになるだろう。

この思考実験で彼らが集めることになる怨念を反転したものが、グーグルの資産である。怨念を帳消しにしてゼロにできるものとは何だろう?感謝?

感謝ではもうひとつしっくりこないが、何かそれと似たプラスの感情を、グーグルは膨大に保有しており、それがグーグルの資産である。

普通の会社は、在庫を全て現金化するようなことはせず、それを運用して資産を増やそうとするが、その点ではグーグルも同じで、少なくとも今のところは、その資産をまともに運用して、それをさらに増やしている。

我々は知らないうちにグーグルに感謝していて、それが、グーグルから見て資産であれば、こちらから見たら負債であるはずだ。負債の処分を迫られて、グーグルを恨みながら金を払うと、それでイーブンになる。

普通の会社が在庫を全部処分することはあり得ないが、その総額はBSに記載され、それが会社の大きさとみなされる。同様に、グーグルが「閉店在庫処分大セール」をすることはあり得ないが、その総額をグーグルの大きさとみなすべきである。

いつでも現金化できる彼らのこの資産が見えてないとグーグルの大きさを見損なう。その資産には、感謝(のようなもの?)と負債という二つの顔がある。ありがたくもあり恐くもある。二つの顔を両方意識しておくべきだと思う。