サラリーマンはハリポタ世界と「ウェブ進化論」的世界のどちらを望むか?

asahi.comの和書総合ランキングで、「ウェブ進化論」がハリポタ第6巻とダ・ヴィンチ・コードの間で二位を獲得という快挙達成。

梅田さんから、「エイプリルフールネタにせよ」というありがたいお達しが届いていますが、おそれ多くももったいないので、ハリポタとウェブ進化論というネタで一エントリー書きます。

日本のごく平均的なサラリーマンがハリポタ世界に放り込まれたらどうなるか?という話。


ハリポタは読んでないんでハズすかもしれないけど、その世界で学園青春ドラマが成り立つことから想像すると、会社のようなものもあるような気がします。

そもそも、魔法アイテムと言えども、販売が可能であるとしたらただの商品。商品であれば、流通、在庫、商品企画、販路の確保、広告宣伝、マーケティング、不良品に対するクレームの処理、商品にまつわる大小ありとあらゆる業務があると考えるべきでしょう。そういう意味では、広い意味での営業関係に関わるサラリーマンの方は、今している仕事をそのまま続けられる可能性が高いと思います。

また、魔法をスキルと見なすのであれば、企業活動においてそのスキルの活用が図られなければなりません。たとえば、魔女の宅急便的企業であれば、応募者がほうきで飛べるかどうか、単に飛べるだけでなく、搭載可能質量や巡航速度と持続時間のようなものを入社試験でチェックする。「ハキハキした接客態度」を教えることも重要だし、教育によってスキルの向上の図ることも重要。人事畑の人にとっても、スキルの項目が変化するだけで、教育訓練の充実とか採用方法の検討やキャリアの定義とか、そういう仕事の根本は同じではないかと思います。

経理関係はどうでしょうか?魔法世界と言えどもお金は必要だろうし、お金があれば伝票と帳簿がある。何の工夫もなくそのまんま同じ仕事ができるかもしれません。ひょっとしたら、集計したり転記したりBS/PLを作ったりする時に、パソコンの代わりに魔法を使わなくてはならないかもしれないけど、経理業務のシステム化で重要なのはやはり表面的なITの知識より簿記の知識や財務センスなんで、経理業務の魔法処理化においても事情は同じではないかと。

結局、ハリポタ世界に放りこまれても、大半のサラリーマンは、今の仕事を今の方法でそのまま続けられる可能性が高い。

悩み事もあまり違いがないかもしれません。パソコンが得意な若い生意気な部下に悩んでいる人は、ハリポタ世界でも魔法が使いこなせず、部下に依頼して魔法をかけてもらわないといけないかもしれないし、逆にIT音痴の頭の固い上司に悩んでいる人は、魔法がわからない癖に理不尽な指示をする上司にやはり悩まされるでしょう。

ハリポタはフィクションであって、フィクションは読者の想像力の枠内で話を進行させなくてはいけない。人間の想像力なんてセコいものです。

しかし、「ウェブ進化論」はもうひとつの現実を描いていて、現実は時に人間の想像力の限界などおかまいなしに進行する。

ウェブ進化論」はハリポタよりもっとあり得ない別の世界の話を書いています。サラリーマンはハリポタ的世界に放り込まれても充分生きていけるが、「ウェブ進化論」的世界に放り込まれたら、そのままでは生きていけません。選択が可能だったら、大半の人は、「ウェブ進化論」的世界でなくハリポタ世界を選び、そこで安穏とサラリーマン生活を続けることを願うでしょう。

問題は選択が可能なのかどうか?「ウェブ進化論」には、我々が親しんだ世界とは随分違うひとつの世界の見取り図が書かれている。それが進行中の現実なのか気宇壮大なファンタジーなのかどうか?ということでしょう。