feeling forced to be mixable in WEB2.0
私は、はてなブックマークのユーザであると同時に、ブログの書き手としてブックマークされる側でもあります。そして、「ブックマークされる側」として、ここ数ヶ月、読者からの反応の変化を感じていて、それをひとことで言えば "feeling forced to be mixable in WEB2.0" という感じです。
つまり、「WEB2.0においては、コンテンツの発信側は、素材化し、断片化されることを大なり小なり強要されるのだなあ」という印象を持ちました。
「反応の変化」というのは、「アクセス数が上がったのに反応が薄くなった」という感触です。ここ数ヶ月で1〜2割アクセスが上がっているのですが、その割には言及が少なく、むしろ減少しているような気がします。
私のブログは、質も量も文体も話題とするジャンルも更新頻度も(おまけに主語も)常に揺れ動いているので、なかなか定量的な分析になじまないものです。だから、その印象も全く主観的なもので、私の思いこみかもしれませんが、「これだけのものが書ければ、これくらいの反応があるだろう」という予想が、最近、どうもはずれます。
そして、その違和感の原因は、どうもはてなブックマークにあるような気がします。はてなブックマーク経由のアクセスはかなりあって、おそらくそれがアクセス微増の原因だと思うのですが、同時に、これまで自分のブログでここに言及されていた方が、ブックマークすることで終わりにしているケースも多いようです。
私自身もユーザとして、ブログにクリップ記事を書くかわりに、自分のブックマークにコメントつきで入れて終わりにしていることが多いので、当然、そうなるだろうと思います。
ただ、ブログであると、50文字程度の感想にしようと思ったことが、思いもかけず広がって長い文章になっていくことがあります。ブックマークではそういうことがあり得ない。だから、当初の「クリップ+ひとこと」という予定が狂って、不定形に拡散していく可能性が閉ざされているわけです。
すなわち、ひとことの言及が(スペースに制限のない)ブログから(50文字制限つきの)はてなブックマークに流れたことによって、規格化されたということです。おそらく、感想の文字数を全部足したら、変わってないか(アクセス微増に比例して)増えているのですが、それによって私が受ける印象は大きく変化したのでしょう。
kokepiの日記 - 企業サイトにおいて、Web2.0をどうマーケティングに活用するのかに、「WEB2.0」というこれからのWEBについての的確な分析がありますが、その結論は、
スローガンめいて言うならば「Be remixable!」とでも言うべきだろうか。
です。これは本当に見事な要約だと思ったのですが、同時にWEB2.0によって、"remixable"であることを強要されてしまう側面もあるのだと思います。
私のブログへの言及は、批判も含めて自分が発信するコンテンツの一部だと私は思っているのですが、これまで多種多様で、いろいろな顔を持っていました。ブラウザで見るブログとしてそれが展開されていれば、そこには、いろいろな顔があります。文体も配色もサイドバーの内容も長さもバラバラです。
しかし、そのかなりの部分が、はてなブックマークやdel.icio.usや、これから出て来るもっと他のWEB2.0的なサイトに吸収されて行くのでしょう。それは、掲示板ともブックマークともブログとも違う、思いもよらない別のサービスであるのかもしれませんが、そのまだ見ぬサービスが、"remixable" であること、そしてその為に規格化されていることは、まず間違いありません。何らかの形で多様性は制限されていくでしょう。
「オレの起こした議論はオレのもの」というジャイアニズムが許容されるかどうかはわかりませんが、私はそれを外に向けて主張しようとは思いません。ただ、言及が広がっていくさまを自分の作品として自分で鑑賞するのは、私の勝手でしょう。そのひそかな楽しみが、はてなブックマークによって奪われつつあるという思いが、正直に言えば、私にはあります。
ただそれが、remixableになることによって、おそらく私の起こした波紋は、これまでより遠くまで届くのでしょう。それが、WEB2.0の意味だと思います。
一長一短で、どちらにも良さがありますが、どうも、remixableになることは、選択の余地なく強要されることであって、ちょっと気が早すぎるような気もしますが、"feeling forced to be mixable in WEB2.0"という感じです。