陰謀論の麻薬的な魅力

「みんなは知らないが裏で悪い奴が秘かに悪いことをしてる」と考えだすと、その考えが止まらなくなってしまう。特にマスコミ不信の証拠をひとつでも見つけると、古今東西あらゆる事件の報道を疑いの目で見るようになる。

特に問題なのが、反証を見つけても「それが隠蔽の証拠だ」と言ってかえって自説を補強してしまうことだ。カルト宗教にハマる人と同じ思考形態に陥ってしまって抜けられなくなる。

だから、「バランスが大事だ」と思うのだが、「バランス」っていう概念は社会的な常識と不可分である。陰謀論は基本的にそこを疑っているので、そこに頼ることはできない。陰謀論は前提が違うだけで、推論や実証の方法は論理的であるので(あり得るので)、場合によってはカルトよりたちが悪い。

結局、信頼に値する健全な言論が社会にとっていかに重要であるか、あらためて思い知るのである。陰謀論を撲滅するには、匿名掲示板とかP2Pとかブログのようなものがどうしても必要だと思う。陰謀論の怖さとネット言論の効用をもっと訴えるべきではないだろうか。