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てっとりばやく海岸から砂を取ってきてコンクリに混ぜると、 30年たってから鉄筋が腐ってあっちこっち滑落する。去年、このことが随分騒がれたが、今になってやっとわかったんだけど、これは一種の啓示だったんだ。

小学校に見張りを立てて男が乱入しないようにしようとか、入院歴のある危い奴はちゃんと見張るようにしょうというのは、これはこれで応急処置としては必要なことかもしれないが、滑落するコンクリートを接着剤で止めましょうと言ってるようなもので、本質的なことではないし、長期的には破綻する。次は入院歴の無い奴が見張りのいない別の場所で事件を起こすだけのことだろう。

俺は精神には深層というものがあるという立場を取っている。深層があって構造がある。論理や言葉というものは表層をなでるだけのものなので、日本人の精神にとって鉄筋にあたるものが何かということは表現できないけど、それが錆びていることだけは断言できる。滑落する場所を予言することはできないが、まだまだあちこちが滑落することは確かだと思う。

ただ、最近、ちょっと考えがかわったのだけど、どこの国でも21世紀には、いったんサラ地にしてやり直さなきゃならないみたいだ。だったら、簡単に崩れてしまうことも、まるっきり悪いことじゃないのかもしれない。

まるっきり悪いことではないんだけども、とにかく鉄筋が腐ってるという認識は必要だと思う。そして、このアナロジーで重要なことは、外側から鉄筋だけをきれいに修繕する手段はないと言うことだ。壊れるものをさっさと壊してしまうしか方法がないと言うことだ。