神話とワイドショー

ワイドショーと神話はすごくよく似ている。ヒーローやヒロインのことを語っているフリをして、実はどちらもエグい話ばかりだ。不倫、殺人、グロ系のオカルトなど暴力や嫉妬をベースにした話題が多い。嘘だと思うなら、古事記でもギリシャ神話でも読んでみろ。何故か女性週刊誌に多い奇形児や障害者なんかもよく出てくるし、ミッチーサッチー顔負けのオバタリアンやら叶姉妹みたいな正体不明の怪しげな美女とか結構「濃い」人物が多いことに驚くだろう。最近の流行りで言えば、クスリを使った強姦未遂や強姦致死もあるし確か死体遺棄もあったはずだ。

何より共通しているのが、マッチポンプ原理がベースとなっていること。神々しい人物が意外に俗っぽかったりズルかったり馬鹿だったりするという構造が基本的なストーリーの基盤になっている。まず、その人がどれだけ偉い人か詳しく説明しておいてストンと落とす。最近で言うと高橋尚子がやられたあれです。

人間というものは基本的にそういう構造の話を定常的に必要とする生物らしい。もちろん、昔の人はつつましかったから、こういう話も濫用はしなかった。だから、毎日のように新しいスキャンダルをでっちあげなくても、何百年となく語りつがれてきた同じ話で用が足りた。現代人は何かにつけ強欲であり、エネルギーも食料資源もスキャンダルも生存に必要な量の何倍も欲しがる。しかし、こういう話で埋めておかないと埋まらない穴が心の中にあるのは同じである。

現代日本において、こういうことを研究している第一人者が梨元勝だとすると、ヨーロッパで最初にこの穴の構造に気がついたのがユングである。奴が生きていたら、俺は梨元と共著で本を書かせてやる。きっと深層心理学における偉大な業績となっていたことだろう。必要なものは必要なんだから、だれかこのことを真面目に研究してくれよ。まあ、両方に精通した*田口ランディ*という人がいるからとりあえずは何とかなるかもしれんが・・・。