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長い間ソフト業界で仕事をしてきて、実ははずかしく思っていた。「技術者」と呼ばれる人種の中で、ソフトの技術者だけはちっとも勉強しないし理論を知らないし理論と現場が乖離しているし、だからやることがいいかげんで確信が持てない。それでも全員がそれでやってるから、バグを出してもちっとも反省しないし、真剣に対策することもない。こんな業界は自分の所だけだと思っていた。

しかし、医療ミスのことが明るみに出てくるにつれ、医者というのも随分非論理的なことを平気でやる人たちだということがわかってきて、ちょっと安心。どこでもバグだらけで、しかもバグを隠すし、バグを減らすためのシステム的、科学的なアプローチを嫌う。なんだ、俺たちと一緒じゃないか。でも、ちょっと待てよ。ソフトの外注なら他になければしかたなくダメな所にでも発注するけど、自分の体が悪い時にも同じ感覚で、一かばちかの勝負に出ないといけないというのは、これはちょっとツラいね。

しかも、O157誤報騒ぎのニュースを聞くと、バイ菌を自分でハムに混ぜて「このハムが悪い」なんていう保健所もあるとかで、あらゆる所で、技術者の真剣さとスキルとモラルが低下しているみたいだ。

構造設計が素晴しすぎるビルがあって、力が分散するから鉄骨が少々痛んでも全く問題ない。しかし、そんなビルでも中の鉄骨が腐りまくればいつかつぶれる。でも、よほど計算がよくできてて、つぶれる瞬間までは立派に建っている。今の日本がそんなビルと同じ状態でなければよいのだが・・・。