視聴率操作はそれほど重大な社会的問題か?

テレビの広告主は視聴率を基準に広告費を払うので、そこに嘘があったら虚偽の品質表示になります。クライアントに対しては重大な裏切り行為で、商道徳としては非難されて当然でしょう。また、視聴率調査をするビデオ・リサーチ社に対しては業務妨害、視聴率を人事評価等の内部的な基準としている日テレから見たら、重大な規律違反です。

でも、迷惑がかかっているのは特定の企業で、社会的、公的な問題ではありません。視聴率が10%違っててもぜんぜん気にしない人がほとんどでしょ。

言ってないことを言ったと放送したり重大な疑惑に誠意ある回答をしなかったり、同じ数字を操作するにしても、政党支持率の世論調査をいじったりするほうがよほど問題です。以上三点、いずれも私の感覚では今回くらいの騒ぎになるものと思ってました。

  • 直接の担当者は懲戒解雇
  • 社長は引責辞任
  • 再発防止委員会設置
  • 新聞はトップ記事+関連記事3,15,38,39面(3面は社説も含め全面がこの記事)

「マスメディアは公器だからそれにかかわることは些細なことでも、当事者だけの問題ではない」という考え方もあります。一般の商取引と同じに考えて「当事者同士の問題」とする私の見方は甘いのかもしれません。そうだとしたら、この扱いも当然と言えるでしょう。でも、これをスタンダードにしたら、捏造報道なんてどうなるのか。

  • 直接の担当者は打ち首獄門
  • 社長は市中引き回し
  • 再発防止の為、社内各所に監視カメラ設置、製作スタッフに尾行をつけ全部ネットで公開
  • 新聞は抗議と反省の意味をこめて、一週間全紙面に黒いふちどりで大特集

これはひどすぎる、人権問題だ。だから視聴率操作なんて、担当者丸坊主でCEOがクライアントに菓子折り持ってあやまりに行くくらいでちょうどいいと思います。そうしないと、上記のような事件が問題になった時に死人が出てしまいます。問題のプロデューサーは「視聴率が民間会社一社の調査データに過ぎないため、さほど神聖視してなかった」と述べたそうです(読売新聞社説)。その感覚が正常なものだと思います。