知財ゴロ消毒所

IPR-Sanitizing centerとでも呼べば無難なんですが、基本的に私の気持ちはトガッていますのでトガったこのタイトルで行きます。タイトルはトンガってますが、オープンソース知財ゴロから守るための、真面目で実現可能な(と本人は思っている)提案です。

まず、「知財ゴロ消毒所」という、公的な機関を設立します。公正取引委員会のようなある程度の強制力のある機関になります。まともな名前は誰か考えてください。以下、私はこれを「消毒所」と呼びます。「消毒所」の機能は、「知財ゴロのタカリのネタをあらかじめ吐き出させる」ことです。つまり、ここを通ったソフトウエアを対象にする場合、一定の手続で予約しないと知的財産権にからむ紛争が起こせないということです。

「消毒所」のユーザは、二種類あります。オープンソースの開発者と知財ゴロです。開発者は自分が開発したソフトを「消毒所」に登録します。知財ゴロは登録されたソフトに関して、「紛争予約」を行ないます。無闇にたくさん登録されると機能しないので、どちらも有償にして真面目な人だけが登録するようにします。手数料+保証金のようなお金を預ける方法がよいと思います。

「登録」というのは所定の手続きで、ソフトウエアのソースを「消毒所」に提出して「これを消毒してください」という依頼を出すことです。「消毒所」は、受けつけたソフトを公示して、「これに文句のある奴は、○月×日までに予約するように」というおふれを出します。

知財ゴロは、自分がタカりたいソフトがここに掲示されたら、決められた期日までに「それは俺のネタじゃあ」と名乗り出なくてはなりません。それが「紛争予約」という手続きになります。「紛争予約」をするには、当該物件のどのソースにどういういちゃもんをつけるか、「消毒所」が指定するフォーマットで明確にする必要があります。

さて、期間が過ぎると「消毒所」は提出された「紛争予約」をつけて、「このソフトはここにあるトラブル以外には訴訟の対象と成りません」という証明書を出します。それで、「紛争予約」無しで後から文句言っても、もう遅いよと「消毒所」が保証してくれることになります。実際の紛争は、裁判所でこれまで通りの手続きで行なうわけですが、その裁判の中の争点が、「紛争予約」されたものであるかどうかを「消毒所」が判定します。「紛争予約」されてない争点と「消毒所」が判断したら、その裁判は無効になります。

オープンソースのユーザは、消毒済みのソフトを使う場合には、提出された「紛争予約」を検討します。知財ゴロがどれだけ馬鹿なイチャモンをつけているか、所定のフォーマットによって充分検討できるわけです。そして、本当にどうしようもないようないいがかりしか問題が無いのだな、と確認した上で、安心して使うことができます。「紛争予約」された争点については、これまでどおりユーザの自己責任で判断する必要があり、その判断を間違えたら、知財ゴロにタカられるリスクがありますが、「紛争予約」されてない思わぬ所からサブマリン特許でやられる心配がないので、負担が全然違うと思います。

知財ゴロは(特に悪質な奴は)、当然、こんな制度に賛成するわけないでしょうが、一応、反論を許さない為のいいわけとして、「消毒所」で「紛争予約」した件については、調停が素早く行なわれるとか賠償金を余分に取れるとか、何かタカる側にメリットもつけないと駄目でしょう。具体的にどういうエサがいいのかはわかりませんが、事前に声をあげて取れるような正当なクレームならば、そういうメリットを与えてもいいと思います。あるいは、「消毒所」に提出する為には、ソフトの開発プロセスに関する詳細な情報を開示しろ、とかそういう条件でもいいです。

開発者としては負担が増えるだけですが、紛争に伴うリスクや負担を有限にできて、ある程度計算可能なものにできるというメリットがあります。それでも問題は、誰がこの負担をしょいこむかですが、やはり、IBMRedhat等のオープンソースで商売する人にしょってもらうしかないでしょう。

それと、具体的に何をいつ「消毒」するかですが、私のイメージとしては、カーネルApacheのような主要なコンポーネントの安定版のメジャーリリースごと、に「消毒」を行ないます。おそらく法的に有効なプロセスを進めていると、実際に稼働しているバージョンより少し前のバージョンにしか「消毒済み」のマークはつけられないと思いますが、コンポーネント全体を自己責任で使うよりマイナーバージョンアップやパッチだけの自己責任で使えるようにすることは、かなりの意味があると思います。

ということで、一応、誰もがハッピーになる提案だと思います。もし「使える」と思ったら、誰かまともな提言に直してください。どこをどう直してもいいし、元ネタに言及する必要もありません。

実際には、タカる側に何か有利な条件をもう少しつける必要があると思います。何をしたらタカリどもが喜ぶのかわからないのですが、「消毒」の為には、徹底的な情報開示を要件としてマナ板の上の鯉になる覚悟は必要になるでしょう。それは仕方ない、しかし、オープンソースに関してこれ以上何を開示したらいいのかがわからない。その点をクリアできれば、充分実現可能なアイディアだと思います。

私は、こういう知財ゴロに関して、これ以上きれいな言葉で話をすると、腹が腐って死んでしまうので直しはやりません。本当は、「コピー流用可。ただし元ネタに対する言及禁止」というCCの帰属と正反対のライセンスで別文書にして公開しようかと思ったくらいです。何にせよ、独自ライセンスをまともに書ける人間ではないので、それはあきらめましたが。