OVER THE SKY:Yuming International Cover Album

ユーミンは詩がアートで曲がポップスなのだと思う。だから、日本語で歌う限りは半分アートになるのであの変な声でも成り立つし、あれを超えるのは意外と難しい。日本語の歌詞をはずしてしまえば100%ポップスになる。実に心地良く楽に聞けるアルバムになった。アートだと思えば本人の声でもがまんして聞くが、やはり一流の歌手の安心できるちゃんとした歌で聞くのもいいもんだ。

しかし、アメリカのスタジオミュージシャンの職人的な実力は深い。おそらく、バンドは一流プレーヤーの控えくらいのレベルを適当に集めてほぼ初見で演奏させてるんだろうが、どのトラックも地味に抑揚があっていい演奏である。

あらゆるジャンルで1.5流くらいの層が厚い所にアメリカの底力を感じる。1.5流くらいまでは努力する個人を集めてシステム的に製造することができるものだが、それを効率的に徹底的にやるのがアメリカのやり方だ。

アメリカの一流はほぼ必ず1.5流を兼ね備えている。1.5流のプレイができてプラスアルファとして一流プレイヤーの能力を持っている。歌手としてのユーミンのように、1.5流の能力の欠いた一流が存在し得ない所がアメリカのシステムの弱みである。