戦争をしない為の軍事知識

SEというのは「コンピュータを使うべきでない時」を知っていて「コンピュータを使わずにすます技」を身につけた者である。

在庫管理を例にしよう。在庫が10個しかないのに20個の出庫伝票が来たらどうするか?在庫、つまりモノの数がマイナスになるわけないからエラー、と言ってこのデータをはじくのは素人。入庫のデータの入力が遅れていて、モノは30個あるけどデータ上は10個なんてことは現場ではよくある。普通はこういうのは、出庫を先に打ちこめるように作る。無条件にマイナスを許すか警告するか隠し画面にするか、それとも仮出庫なんていう伝票をでっちあげるか、方法はいろいろあるが、とにかくなんらかの形でマイナス在庫を許すように作るのが定跡だ。

たまに、客が「入庫伝票の即時入力を徹底させるためにマイナス在庫をはじいてください」なんて言うことがある。この場合の「客」は現場を知らないエラい人であることが多い。言われた通りに作ると、倉庫から荷物が動かなくなって現場が大混乱になる。伝票の流れを直すことにコンピュータを使ってはいけない。使う場合もあるが、その時は、現場を巻きこむか洗脳するか入れかえちゃうかする。覚悟を決めて充分準備する。

こういう問題では、素人がイケイケドンドンで、専門家の方が汗を流して「社長、頼むからやめてください」というパターンになることが多い。本当のコンピュータのプロは「コンピュータを使うべきでない時」を知っている。そしてよい経営者はそういうプロを見わける目を持ってて、その助言を活用することができるものだ。

同じように、本当の軍事のプロは「戦争をするべきでない時」を知っていて「戦争をしないですます技」を知ってるのだと思う。日本にはまさにそういうプロが必要だし、マスコミはそういうプロを見わける目を持っていて欲しいと思うのだが・・・