ボディバランス

エリック・レイモンドは「なぜオープンソースが人を集めるか」を世界に問いかけた。linuxというソフトウエアでもなくリナス・トーバルズという個人でもなく、オープンソースという開発スタイルが人を集めるのは何故だ、という正しい問題を提起した。

それに対する彼の回答は間違っているかもしれないし不十分かもしれないが(実際、あの三部作はいささか散慢で読みずらい)、彼が世界で初めて正しい問題を投げかけたという功績は残る。

僕もひとつ世界に問題を投げかけ、ついでに自分で回答を与えるが、どうか問題の方を評価してほしい。

その問題はこうだ。

ひろゆきとリナス・トーバルズが共通に持つ頑固さ、あるいは一貫性を言語化せよ」

リナスは世界中から送られてくるパッチやらドライバーやらを無原則と言ってもいいほど受けれたし、ひろゆきの言うことややることは裁判に進捗によって微妙に揺れている。しかし、どちらもフラフラしているようでいて、何らかの一貫性のようなものを持っていることには誰でも気づく。あることはわかるんだけど言葉にするのは難しい。僕は、ワールドカップのおかげでこれを表現するひとつの言葉を手に入れたような気がする。

それは「ボディバランスの良さ」だ。

当たってくる敵にガシガシ当たり返してハジキ飛ばすわけでもないし、トリッキーな動きで身をかわして逃げてしまうわけでもない。普通に自分のプレイをして、エネルギーを使わずに、一番確率の高い所へボールを回す。大半のパスは軽いワンタッチパスだ。そして常に何があろうと自分の姿勢を保っている。これが、彼ら二人が長期的にたくさんの人を巻きこむ秘訣ではないかと思う。

ネットというのは、サッカーのように11人でやるものではなく50億人でやるものだが、トップ下に立つ人間にとって視野の広さとボディバランスの良さが必須のスキルである。それしか持ってないひろゆきのようなDQNでも日本をひっかき回したし、それに加えてコードも書けるリナスに至っては世界をひっくり返した。