連続的で不可視の「プロジェクトX」たち

プロジェクトX」成功の原因は、プロジェクトを描くフォーマットにあった。つらいプロジェクト、成功への道は見えない。そこで「男たちの逆転をかけたドラマ」(だいたい番組開始35〜40分ぐらいだったか。「水戸黄門」を想起させる)が始まって、めでたくプロジェクトはうまくいく。

多くの人々がこのパターンにはまり、日本PTA全国協議会は「プロジェクトX」を2003、2004年度の「子供に見せたい番組」に選定するまでになった。

少し考えれば、この構図が欺瞞(ぎまん)であることはすぐ分かる。「男たちの逆転をかけたドラマ」を仕掛けなければならないという時点で、すでにプロジェクト管理は失敗しているのだから。

適切なプロジェクト管理によって、潜在的な危機を事前に回避して本当に成功したプロジェクトはドラマにも研究材料にもなりにくい。従って、なかなか人の目に止まらない。

日本Rubyカンファレンス2006というイベントで、目玉とも言えるDHHの講演の次に興味を引かれたのは、後藤謙太郎さんの「仕事で使うRuby」という、やや地味目の発表だった。

それは、まさに、「連続的で不可視の『プロジェクトX』」の話なのではないかと思う。

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