実証炉を意図的にメルトダウンして空冷の効果を実証

福島第一の汚染水の問題は、今パンクしかかっているタンクの処理も見通しが立たない状態ですが、それができたとしても、増え続ける汚染水をずっとこのまま処理し続けていくべきかという疑問が出てくるでしょう。

私が知る範囲では、今の水冷に代わる案として、「熱交換機による冷却」と「スズ棺」という二つの案があります。

ただ、上記記事を見る限りでは、どちらも一定のメリットはあるものの、問題がある案のようです。

水冷を続けることの問題点が明らかになってくると、こういった別の冷却方式の提案がいろいろ出てくると思います。なかには、問題をクリアできる良い方法が出てくるかもしれません。

もし、机上ではうまくいきそうだというアイディアが出てきた場合の話ですが、それを実際に適用する前に、規模の小さい原子炉で実験してみるべきだと思います。

つまり、1/10スケールくらいの実験用のミニ原子炉を一定期間運用してから意図的にメルトダウンさせて、それを提案されている方式で冷却してみるのです。

同時に、メルトダウンした核燃料が炉の中でどういう状態になっているか知るための観察もします。燃料の状態をなるべく福島第一に近い状態にして放置してみれば、今問題となっていることがわかります。つまり、格納容器の底のコンクリートに落ちた高温の燃料がコンクリートとどう反応するのか、仮にそれがコンクリートを突き破ったとしたら、土の中でどうなるのか、そこに地下水があったらどうなるか、といったことを知るための実験データを取ることができます。

汚染水の問題は大きいですが、水冷というのは実績のある方法で、燃料を冷やす最低限の効果は実証されています。それに代えて、新しい方式に切り替えるなら、なるべく本番に近い環境で試してみることが必要だと思います。

そもそも、これは本来、事故が起こる前にすべきことだったと思います。事故が起きた時の影響が大きい大規模な技術開発では、失敗した時の系の一連の挙動を、実験で確認しておくことは常識なのではないでしょうか。

「今メルトダウンした燃料がどこにあるかわからない(から対策の検討のしようがない)」というのは、そういう技術開発の手順を完全に間違えているということだと思います。

危険な汚染水を大量に生産し続けることも問題ですが、万が一、切り替えに失敗して燃料の冷却が止まってしまったら、もっと問題です。当然、水冷に戻せる状態で切り替えを行うと思いますが、本当に水冷に戻せるのかどうかということも、先に実験で検証すべきだと思います。一時的にでも温度が上がれば、水冷に使っている設備が痛んで戻せなくなってしまう可能性もあります。

言うまでもなく、これは非現実的な提案で、この実験施設は実験がうまくいっても大量の放射性物質を放出します。実験が失敗したら、燃料の量が少なくても福島第一以上の被害を地域にもたらす可能性もあります。引きうける自治体はないでしょう。

それは、原子力発電が非現実的だということで、それを使って事故を起こした以上は、日本にはこの実験をやる責任があると思います。少なくともオリンピックを開くなら、(「絆」の力を使って?)これぐらいの覚悟をもって事故を収束させる意思を見せるべきではないでしょうか。

おそらく、この提案は皮肉として書いていると解釈される方が多いと思います。そう読んでもらってもかまわないのですが、なるべく早くこの実験をした方が費用の総額が安くすむだろうな、水冷を続ければ賠償なども含めてもっと費用がかかるだろうな、とは思っています。

タンクに気を取られすぎないで、本体もちゃんと見ようよと、マジ思っています。(見るべきなのは燃料プールの方かもしれませんが)

気になるのは、1号機、2号機、3号機それぞれ状態が違うので、3回やるべきじゃないのか、そう思うのは素人だからで本当は1回やれば必要なデータは全部取れるのか?あるいは、原子炉開発と同じで、安全を考えて、実験炉のメルトダウン、原型炉のメルトダウン、実証炉のメルトダウン、実証炉(福島第一に適用)と順番に進めるべきなのか、そのへんです。


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