画面に触っているうちは本物のiPhoneではない

これは自分の記事が引用されてるとは知らなくて、「なるほどなあ、電力システムの歴史との比較かあ」と感心しながら読んでいたら、途中から自分の記事が出てきてビックリしました。

ただ、少なくとも、タッチパネル+カメラ+マイク+GPS搭載のWi-Fiバイスが、あのスムースなアプリケーション操作を通じて「外に出る」ことのその先はもう少し考えてみる価値がある。

たとえばiPhoneのGoogleMapsは非常に良く出来ていて、まずキーボードからキーワードを入れる必要がない。

なぜなら位置情報を取得して自動的にロケートしてくれるのでそもそもPCとは操作性が全く違う。ただ、それだけなら従来のGPSデバイスと違うことは無い。

でも、Push Notification Service を組み合わせれば、位置情報にマッチした情報の動的取得が移動しながら可能になるだけでなく、geotagのフィルタリング等をうまく活用できれば取得情報のパーソナライズも自在だ。

iPhoneを触っていて感じるのは「もうキーボードもキーワードもいらない」という設計者のメッセージだ。iPhoneではYouTubeでもほとんどキーワード入力を行わなくても操作できるように配慮されている。

このイメージが具体化した形のサービスとはどんなものか一つの例を考えてみました。

それはたとえば「『そこ』にいる『誰か』とお話できるサービス」。

iPhone発売以来、毎日のようにソフトバンクの表参道店には行列ができているそうですが、こういう時に誰でもいいから、その近辺を通っている人に電話して「今、行列は何人くらいですか」とか「そちらの天気はどうですか、暑いですか」とか聞いてみたいことがあります。

つまり、相手は誰でもいいけど、その瞬間、特定の場所にいる人と話がしたい、というニーズに答えるサービスです。

これに登録しているユーザは、自分が暇だったり、移動中の時に、そのサービスのプログラムを起動しておきます。そうすると、そのプログラムがその人のいる位置をサーバに自動的に登録してくれます。

そして、使う側の人は、地図を開いて場所を指定すると、システムがその近くにいる誰かを自動的に選択して、通話のチャンネルを開いてくれます。もし、そこに誰もいなかったら、誰か来た時に通知するように依頼することもできます。そうすると指定した場所を誰かが通りがかった時に、その通りがかった人を呼び出すのと同時に、依頼元も呼び出して会話をオープンするわけです。

会話だけでなく、「じゃあ、その行列を写して送ってください」と頼めば、それをカメラで撮って即転送してもらうこともできるといいですね。

旅行を計画している時に現地の様子を聞かせてもらったり、不動産を購入する時に検討している物件の周辺を撮影して送ってもらったりとか、いろいろな用途に使えると思います。

ただし、これを具体化するにはいろいろな問題があります。まずビジネスモデルをどう構築するかが大問題だし、「本当にそこにいるのか確認できるのか」という問題もあります(無線LANを通る通信はいくらでも細工できるので、原理的にはチートプレイが可能です)。それに「誰でもいい」と言っても、ある程度は相手を選ぶ必要があるから、SNSやオークションサイトのようなユーザの評判を管理する仕組みが必要かもしれません。何か事件の時には、たまたま現地にいる人にアクセスが集中することも予想されるので、そういう突発的なトラフィックをどうさばくかは、ビジネス的にも技術的にも難しい問題です。

だから、これがそのまま実現するとは思いませんが、GPSと「着信」が主たるIO(入出力装置)になるサービスとはこんな感じではないかと思います。キーボードは使わなくても、いろいろな応用が考えられると思います。

むしろ、起動中もほとんど画面に触れる必要がないようなアプリの方が、iPhoneの本筋ではないでしょうか。


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