ディオゲネスは世界最初のニートか

電網辻々噺さんに、2ちゃんねるで拾った面白い小話がありました。(元ネタはたぶん http://human7.2ch.net/test/read.cgi/dame/1182155387/30 )


新宿のビッグカメラ。3Fメディア売り場。20前後のニートがカゴにHDを大量に入れていた。
それを見た中国人は、「すばらしい量だね。どれくらいの時間、ダウソしているの」と尋ねた。
するとニートは「1日中だよ」と答えた。

中国人が「そのデータでビジネスをすればいいのに。おしいなあ」と言うと、ニートは、自分は楽しいしそんなことしなくても十分だと言った。
「それじゃあ、1日中何してんの」と中国人が聞くと、ニートは、「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから起きてダウソチェック。ダウソしたエロゲーで遊んで一発抜いて、親が作った朝食食って。回復してきたら新作動画で一発やって、またダウソチェックして、回復したらオナニーして…ああ、これでもう一日終わりだね」


すると中国人はまじめな顔でニートに向かってこう言った。
蛇頭でコピー部門を担当した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、DVDに焼く行為をするべきだ。それでDVDを売る。お金が貯まったらもっとDVDを買う。そうすると利益は上がり、儲けも増える。その儲けでDVDドライブを2台、3台と増やしていくんだ。やがてオフィスが借りれるまでね。そうしたら自分で焼く行為はやめだ。歌舞伎町にオフィスを借りて、人を雇って焼かせたり発注作業をさせる。その頃にはきみは六本木ヒルズに引っ越していくだろう。きみは六本木ヒルズの寝床から携帯で指揮をとるんだ」

ニートは尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」と中国人はにんまりと笑い、「今度はその組織ごと売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
「そうしたら引退して、日が高くなるまでゆっくり寝て、それから起きてダウソチェック。ダウソしたエロゲーで遊んで一発抜いて、親が作った朝食食って。回復してきたら新作動画で一発やって、またダウソチェックして、回復したらオナニーして、これで1日終わる。どうだい。すばらしいだろう」

なかなかよく出来た小話ですが、実は、これ元ネタがあります。

こちらのブログで紹介されていますが、ギリシャの哲学者ディオゲネスアレクサンダー大王の出会いのエピソードに、これとよく似た会話があります。

ディオゲネス
「あなたはどこに行こうとしているのか?」
アレクサンダー
「私は全世界を征服するためにインドに行くところだ」
ディオゲネス
「その後で、あなたはどうするつもりなのか?」
アレクサンダー
「それから私は休む」

これに対して、ディオゲネスが笑って言った言葉が

「あなたは狂っている!
 私はいま休んでいる。
 私は世界を征服しなかった。
 私にはその必要があるとは思えない。
 最後には休んで、くつろぎたいのであれば、なぜいまそうしない?
 それに、私はあなたに言おう。
 もしいま休まなかったら、あなたはけっして休まないだろう」

ディオゲネスとアレクサンダーの邂逅の逸話は有名ですが、このバージョンは少し脚色されているようで、その元ネタは、上記ブログによるとこの本のようです。

一休道歌 上
一休道歌 上

ディオゲネスはすでに世界の半分を制服しているアレクサンダー大王に「何でも欲しいものをやろう。何か欲しいものはないか?」と聞かれて、「あんたがひなたぼっこの邪魔になってるんで、悪いけどそこをどいてくれないか」と言ったそうです。

「世界じゅうに存在する全ての情報から何でも好きなものを検索してやろう。何を検索して欲しい?」と聞いたら、ディオゲネスは何て答えるのか知りたいものです。