マスメディアが「魚眼レンズ」的ブログを補完しつつ活用する可能性

FishEyeTabsというFirefoxプラグインがなかなかいい。

ネタフルさんのタブを拡大スクロールするFirefox機能拡張「FishEyeTabs」という記事で紹介されているが、タブバー魚眼レンズのように拡大するものだ。

タブブラウザを使った人なら誰もが経験していると思うが、タブをたくさん開くと、前に開いてあったページに戻ろうとして苦労することがある。どこにあるのかわからなくなってしまうのだ。タブにページのタイトルが表示されているけど、たくさんのページを同時に開くと、だんだんと一つのタブの大きさが小さくなり、ページタイトルが全部表示されなくなる。

私は常に数多くのページを開いているので、タブに表示されるタイトルは数文字がいい所で、この表示は何の役にも立たない。

しかし、FishEyeTabsを使うと、タブバーにマウスカーソルを近付けた時、マウスの近くにあるタブがスーっと横に延びる。そして、そこからマウスカーソルを横に移動すると、順々にページタイトルを確認できるのだ。

そのまま見たいページが見つかるまでマウスを移動して、見つかったら静止するとそのページが表示される。(Tab Mix Plusのオプション、マウス→マウスジェスチャー→マウスオーバーでタブを選択にチェックを入れておく)

この「魚眼レンズ」的UIは、多数の選択肢から何かを選択する時に、有効なメタファーの一つとなるだろう。

そして、これを見ていて感じたことだが、ブログの観点は「魚眼レンズ」的だと思う。

注目している所を拡大して表示するが、それ以外の周辺部は無視するからだ。FishEyeTabsでも、マウスカーソル付近の2〜3個のタブは拡大されるが、そのしわ寄せは他のタブに行って、他のタブは縮小されている。その注目点は常に移動するが、ブログが映し出す世界の像は、魚眼レンズのようにゆがんだ像なのだ。

日経ITProの加速するネットの進化と,その果てにある“もう一つの地球”というコラムで私の記事が引用されている。

同じように、Railsの「次元の違うスピード感」を話題にしているが、高橋信頼氏の文章がわかりやすくバランスのとれたものであるのと比較して、自分の記事は表現も尖っているし「魚眼レンズ」的だと、読み返してみて感じた。ITProの方は誰にでもお薦めできるが、自分のは読者を選ぶだろう。

ただ、高橋さんのコラムとセットにすれば、かなり適用範囲は広がるように思った。周辺部を含む全体像が示されることによって、私の文章が虫眼鏡のように活用される可能性がちょっと広がったように感じる。

このブログは、良くも悪くも「魚眼レンズ」性が高く、かなり偏った観点、見方によってはゆがんだ世界観に立っているので取扱い注意だと自分では思っているが、ブログというものはそういうものであり、そうあるべきだと私は考えている。

だから、ブログによる個人の直接発信が広まれば広まる程、そういう「魚眼レンズ」を補完しつつ文脈を与え活用する機能というのは、ますます重要なものになる。その意味でマスメディアの役割はこれからも重要だ。ちょっと自画自賛気味っぽいけど、この記事は、そういうブログとマスメディアの理想的な共棲の可能性を示しているように感じた。