エクストリームはてな = デスクトップ生中継企業

エクストリームプログラミングは、「ツマミをめいっぱい回すことだ」と説明される。テストが重要だと思えば、そのツマミをめいっぱい回すと、テストを先に、つまりテストファーストというプラクティスになる。レビューが重要だと言われて、そのツマミをめいっぱい回すと、常時レビュー、つまりペアプログラミングが生まれる。

同様に、はてなのやっていることの「ツマミをめいっぱい回す」とどうなるか。

私は、社員全員のデスクトップ公開だと思う。それもキンタマウィルスのようなスナップショットという生易しいものではない。常時、リアルタイムで全社員の動くデスクトップを見ることができるのだ。画面を生中継することで、コードを書いたりメールを読んだりチャットをしたり関連ページを見たり、そういう作業の様子を全部、ユーザに公開してしまうのだ。

VNCにはリードオンリーモードがあるけど、これをスケーラブルにしたようなイメージ。そして、それには時系列で一意のURLがつく。

「意外なことに○○さんがemcasのXXX関数を知らずに、3ステップかけて回り道をしてた」とか「はてなアイディアの○○の件を××さんは何月何日何時何分から約30分かけて、このように実装したけど、これはこうすれば、別の△△というアイディアも同時にサポートできたから、そうすべきだった」とか、言いたい放題言われまくる。そういうことをブログに書く時に、「××さんの何月何日何時何分から30分間のデスクトップ」というものにURLがついていて、そのURLをクリックすると、誰もが、その××さんのあまり効率的とは言えないプログラミング作業を見ることができる。

それで、もちろんそのURLをブクマすることができて、例によってみんなでワイワイコメントすることもできる。無茶苦茶恥ずかしいけど、どういうレベルの人でもこの試練をくぐり抜ければ、コンピュータを使う実力は急速にアップするだろう。

もちろん、どうしても公開できない書類を見る時とかには、「カーテンを閉める」つまり、VNCを切ることもできるけど、あまりしょっちゅう切っていると、これはこれで疑念を持たれる。「一時退席中」と「オフライン」の区分があれば、勤務時間とか作業時間の分配等も完全に外部公開したことになる。

ミクロとマクロを全部公開すれば、それを丁寧に分析して、どこに重要なネックがあるか、集団としての作業効率を改善するにはどうしたらいいか、といった問題点を指摘する自称コンサルが出て来るだろう。そういう「自称」レベルを集めて「集団知」にするノウハウは、もともとどの会社よりたくさん持っているわけだし。

はてな自身が、「エクストリームはてな」になるのか、他の会社がやるのかはわからないが、そういう会社では、入社する時にこの自爆キンタマの件について、因果を含められる。いや、そうではなくて、「自分のデスクトップ中継を見たい人、見て喜ぶ人がたくさんいるはずだ」という自信のある人が、そういう会社に入社して、その中から「デスクトップスター」が生まれるのだろう。場合によっては有料化して、それ自体をコンテンツにしてしまう。そういう人が、マウスジェスチャーを一振りするだけで、女の子が「キャー」と絶叫し失神する・・・というのはさすがに冗談だけど、同じ24時間をどうやりくりしたらああなるのか見てみたいと思わせるような人は世の中には何人かいるから、「デスクトップスター」も全くあり得ない話ではないと思う。

(追記)

画面の動きを動画ファイルに保存!なんて記事がありました。これのリアルタイム版と言ってもいいかもしれません。