山本七平ブックガイド

上の文章のネタは静かなる細き声の、「冷笑」という章と「実情と事実」という章です。「本心」や「実情」という言葉に注目して、その言葉が多くの日本人にとって重要な意味を持っていることを、日常的な会話の中から抜き出し、それを信仰や世界観に似たものとして体系化して把握しようとするご自身の思索につなげている話です。

この本は、「自伝的エッセイ」となっていて、確かに日常的なテーマが多く、短かくて読みやすい本です。ただ、その短かい文章の中に、長年の深い思索のエッセンスがこめられていて、山本日本学入門としても、これが一番おすすめです。

それと、ここで紹介した、「空気の研究」がいいです。こちらは、やや理論的な考察ですが、やはり中身は平易でコンパクトにまとまっています。

もう一冊取りあげると、『現人神の創作者たち』です。松岡正剛の千夜千冊で取りあげられているので、こちらをリンクしておきます。

これは、上記二冊と比較すると、古文の引用が多く、それに訳がついてないので、かなりハードです。しかし、内容は濃く、例えば、私などは朝日新聞がなぜこのようにおかしいのかが、この本の考察をほぼそのまま適用していくことで、理解できるような気がしました。

あと、「私の中の日本軍」は別の意味でハードですが、これも性根を据えて読む覚悟さえあれば、非常にいい本だと思います。

偉そうに「ブックガイド」とか言ってますが、私はまだこの四冊しか読んでないわけで、何のことはない、「読んだものは全部当たりでした」という話でした。

odakinさんは以前から読まれているそうなので、できたら、そのうちオススメを紹介してください。

この人が「保守系文化人」と呼ばれていたことは知っていましたが、読まずに言ってるならいいけど、読んで本気でそういう捉えかたをしてた人は、ほとんど読解力ゼロだと思います。(私もそう思ってましたが、読んでそう言ったわけではないので私の場合は違う(笑))

この人は、価値論でなく認識論です。つまり、「こうせよ」という話でなく「こうである」という話をしているわけで、「こうである」が気にいらなければ「そうではない」という話で対抗しなくてはいけない。それなのに、日本の言論界は「こうである」という話に対して、「そうすべきではない」という見当違いの反論をして逃げてきたのだと思います。

山本氏の「こうである」という話はそれだけ痛い所を突いていたんでしょうね。

朝日新聞が現人神思想の正統な後継者である」とか言われたら(これは私の解釈ですが)、いやでしょうけど、レッテル貼りでなく実証的に否定すべきだったと思います。