創発的権力は止まれない

創発的権力という言葉は、ハウル第二弾の記事で、何の説明もなく思いつきで使った言葉です。もちろん例によって厳密な定義とかは考えてないのですが、とりあえず、漠然と2ちゃんねるGoogleのように、誰にもコントロールできないもので、人や組織の行動に影響を与える権力のことを指すとしておきます。

創発的権力の一般論を意識しながら、2ちゃんねるは民主的で理性的で論理的でそのことが問題だと思うと言ったら、てくのーとさんで、次のようにコメントがありました。


ただ、ここまで言い切るにはまだまだ時間が必要だと思う。全ての人がネットに参加しているわけでない以上、十分だと思っていた情報が不十分である可能性は多々ある。


2chの議論に必要な見識を持つ人は、2chの必要性を感じていないとしても不思議ではないわけだ。

確かに、現状の2ちゃんねるについては、私は過大評価しているのかもしれません。しかし、問題は、それがどちらに向かっているかだと思います。てくのーとさんも引用されている、こちらの記事


2ちゃんということで抵抗感を持っていたんだけど、読んでみると有用な情報が集まってるなぁ。

という感想が示す通り、周辺にあるさまざまなサイトを含めて、2ちゃんねるは増殖しながら質を高めているわけです。2chの議論に必要な見識を持つ人は、今は、2chの必要性を感じていないかもしれませんが、そのうち見直して使いはじめるのではないでしょうか。

つまり、創発的権力は民主的、理性的、論理的な方向に向かって、非可逆的に進化するということです。

私が気になるのは、「非可逆的」ということです。これは、具体的な根拠があるわけではなくて私の直感なのですが、2ちゃんねるは特定の方向に進化していて、戻る要素がないような気がします。その進化の方向を、「民主的、理性的、論理的」と呼ぶのがよいのかは確信がありません。もっとよい言い方があるのかもしれませんが、とにかく、一定の方向に向けて正のフィードバックをかけながら進化しているように、私は思います。

そして、これは2ちゃんねるに限らず、GoogleWikipediaもそうです。これらが崩壊することがあっても、おそらく後継プロジェクトが立ち上がるでしょう。その後継プロジェクトも同じ方向に進化していくわけで、止まることがない。

止まらないものは、どんなに安全に見えても好ましく見えても、警戒すべきではないかと思います。