たまたま正しいGoogleがそこにあればそれでいいのか?

Gmail等の最近のGoogleの動きについて、SW's memo: FroogleからGmailまで:Googleはどこに向かっている??で分析されています。末尾にGmailに関するcollectがあって、Gmailとは何なのか、これまでのWEBメールサービスとどう違うのかがよくわかります。

Gmailはヒットするだろうし、orkutと連動したら最強の広告スペースになるでしょう。これらのサービスに埋め込まれた権力というものについて、真剣に考えなきゃいけない時期が来ていますね。「Google八分」が単に検索エンジンからの締め出しじゃなくて、梅田さんの言う「あちら側」全部からの排除になってしまうわけです。

それで問題は、今のGoogleが公正であるか、ではないと思います。今のGoogleの社長さんはいいひとだから、そんなズルをするわけがないとして、それで終わりにできない問題です。Googleは何によって縛られていて何によって動かされているか。Googleアメリカの企業ですから、アメリカの法律が禁じてないことで、株主の意向に添ったことなら何でもできるわけです。それがたまたま公益に添っているから「ああよかったね」と言ってすませられる問題ではありません。

経営者が代わり株主が変われば違うことをするかもしれない。アメリカ政府が意図的に法律を変えて、それを政治的に利用するかもしれない。そういういざという時に、Googleをコントロールできるか、そこにたまっているたくさんのメールを保全できるか、というのが問題です。

さらに言えば、Googleの権力にどう制限をかけるべきかということについて、ある程度は一致するかもしれませんが、おそらくみんな違うことを言う。ある人は全部中身をオープンにすべきだと言うし、ある人はそれではプライバシーが守れないから信頼できる人に監査させた方がいいと言う。それに同意する人が多いとしても、その「信頼できる人」が誰なのかについては、みんな全く違うことを考えている。

根本的には、「それではGoogleをどう縛るかについて会議を開催します」と誰が何の権威でどのように言うのか、つまり、これを合意する道筋をどう合意するのか、という問題だと思います。私は「Google八分」のすぐ下にあるコーダーレベルの法律家と「マイナスイオン」な大衆という記事で、これについて論じています。要するに、これは難しい問題なんだけど、馬鹿をはずして考えるわけにはいかないので、そこが頭痛いなあということです。

もちろん、Googleは全くのフリーハンドではありません。あんまり露骨なえこひいきをしたら、みんなヤフーに乗りかえてしまいます。つまり、市場に縛られているわけです。しかし、Googleの本質は新時代のコンピュータメーカに「Google Filesystem」という独自開発された分散OSGoogleの競争力の源泉だという話が出てきます。この武器をGoogleが本格的に活用しだした場合、現在確保した圧倒的なシェアに圧倒的な技術力が加わるわけです。少なくとも一時期は市場によるコントロールは期待できないのではないかと思います。

これを逆に考えると、現実的な解決策としては、独占企業に自社技術のオープンソース化を強いることではないでしょうか。今の独占禁止法より副作用なしに市場によるコントロールを強化できると思います。