デジタル証券システムによるコンテンツ流通

素晴しい!

デジタル証券とは、言わば「へえボタン」を押す権利です。100へえになるまではタダで押せるのですが、100へえを越えたら誰かから権利を買わないと押せなくなる。「へえボタン」に人が殺到すると、その権利が高騰するわけです。

何が素晴しいかと言うと、「目利き」が儲かるシステムだからです。無名のアーチストを見つけてそのデジタル証券を買っておくと、その人が有名になった時に大きな利益になります。むしろ、コンテンツ作成者自身より「目利き」に強力なインセンティブを与えるシステムです。

プロの音楽制作にも使われているノートパソコン――スタジオと楽器メーカーは苦境に なんて記事を見てもわかるように、ジャンルによらずコンテンツ作成のコストは激減しています。コンテンツ作成者は、強力なインセンティブがなくてもコンテンツを作るでしょう。内在的な動機-「作りたいから作る」だけで創作することを期待していい時代になっているのです。

むしろ必要なのは流通ルート、無数にあるコンテンツの中からよいものを選び出す「目利き」です。当然審美眼も必要ですが、作品の絶対数が多いのでこれは大変な仕事になります。すごいコストがかかるのでかなり儲からないと、誰もやる人がいない。志だけではできないのは創作でなくて評論家になります。デジタル証券は、そのボトルネックに金が落ちるようになっています。

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