法曹界における雇用ミスマッチ

今、レッシグのCODEを読んでいます。うわさどおり、実にエキサイティングです。「法律家になっていればよかった」なんて考えてしまいます。

しかし、これがそういうエキサイティングな本になることが問題ですね。レッシグは、別に、特別独創的なアイディアや見解を示しているわけではなくて、ネットと法にまつまるさまざまな問題を、見通しよく整理しているだけですから。もちろん、その見通しの良さは褒めるべきですが、レッシグがエキサイティングであるよりは、ネットと法の問題がエキサイティングなんだと思います。

法律にまつわる未解決な難題がたくさんあって、その解決のためには想像力と創造力が必要である、ということが、この本を読んでてヒシヒシと感じられます。つまり、ネットと法の問題はフロンティアなんだなと思いました。

しかし気になることがひとつあります。フロンティアが好きな人は、普通、法律関係の職にはつかないだろうなと思います。枠組みから構築しなくてはいけない未解決の難問を解決したいような人は、ハッカーや企業家や研究者になります。そういう人は、普通、法曹関係には行かないでしょう。

もちろん、例外的な人もいるでしょうが、これからは法律とか政治とかが全体としてフロンティアになります。難問の数は、そういう例外の人を回して間に合う量ではないと思います。法曹界の奮起を促したい所ですが、法曹界の方としても「聞いてないよ〜」というのが本音ではないかと。そういう仕事をしたくてその方面に進んだわけではないでしょうから。むしろ、スタティックな確立した動かせない枠組みの中で仕事をしたいと思って、そういう方面に進んだのだと思います。

つまりこの業界では、最も適性の無い人が大量にその商売についていることになるのではないでしょうか。能力は普通以上ですが、要求されるスキルと正反対の適性を持った人が大半ではないかと。まず、どういう人がこれからの法律に関わるべきなのかを真剣に考えるべきだと思います。

政治に関しても同様で、政治が機能しないことが能力と品性の問題とされがちですが、単なるひとつの職種として見て適性のある人が参入しているのかどうかを考えるべきではないでしょうか。