アニマの香り―鏡リュウジ対話集
冒頭の宮台真司との対談がずぬけて面白い。なんと言うか、宮台氏がいろいろなレベルでネタばらしをしている。宮台理論の全体的な見取図がこんなにはっきり見える本は他にないと思う。
こういうことの聞き手になれる鏡リュウジっていったい何者?という気がする。
他の対談も面白いが、鏡氏本人のこの言葉が印象に残った。
最近、やりたいことが見つからなくて生の実感が希薄な人が多いけれど、結局、そういう人には運命の感覚がないんですね。
この「自分を越える大きなものへの畏敬の念」と「とにかく楽になりたいという安易な発想」の「癒し」と呼ばれるものを対置して、後者を批判している。この感覚を共有する対談相手の吉本ばなな氏は、
私は運命は百パーセント信じているほうなので、「ここで労力を使ってもそうがないな」と思うことがよくありますね。逆らわずに成り行きにまかせる。だから、全然がんばらない。
と言っている。