「売れる」「売れない」


誰に、何を、伝えたいのか。何が、今一番いいものだと思っているのか。それが今の雑誌にはあるだろうか。すでに評価の確定したものを載せ、いいんじゃないのと人事のように言っている、そんな雑誌が多いんじゃないか。/「売れる雑誌」はない。いい雑誌が売れるのだ。そう思いたい。

俺も雑誌が好きなんだけど、最近、本当に買いたい雑誌が少ない。どの雑誌にも、ここに書いてあるようなつまらなさがあふれていると思う。そして、それは雑誌だけの話ではない。

「売れる××」って他人に評価される××であって、自分が「いい」と思う××ではない。でも、金を払うのは常に「自分」であって、「他人」という人が金を出して物を買ってくれることはあり得ない。そのような消費者の「自分」は、作り手の「自分」と絶対につながってないと誰が決めたのだろうか。

バブルの頃には「他人」が金を出して、「他人」の欲しいものを買ってくれる市場が確かにあったのだが、主体が「自分」でないのは離人症という病気であって、やはり病気の人を騙して成り立つ商売は、長続きする商売ではなかったんだね。