片岡義男「日本語の外へ」

伝わってないのでもう少し書く。

片岡義男という人は、本来、こういう難しいことを書く人ではなく、バイク乗りの少年やサーファーの青年を、一切の内面描写を拒否して、徹底的に映画的に外側から「彼はこうした。彼はこう言った」とだけ書く小説家である。

その主人公はあまりにクールでかっこいいので、俺はほとんど彼らに恋してしまいながら読んでいたのだが、ある物語の中では、梅雨の天気概況を何ページも何ページも描いていて、これもあまりにもクールで、それから俺は雨が降るだけで胸がトキメクようになってしまった。

その片岡義男の本を久しぶりに読んだら、こういうえらいことになっていて、この人がこれだけ真剣に書かなきゃならないことなんだから、これはえらいことだと真に感じている。

ということで、これはものすごく重要な本なんだが、その凄さが少しは伝わっただろうか?