片岡義男「日本語の外へ」

伝わってないのでもう少し書く。

この本にはブッシュ大統領のスピーチがいくつか引用されており、それが「明解さ」という英語の最も優れた特質から微妙にずれて、節度のないあからさまな言葉になっていることを指摘する。

それにまつわるたくさんのエピソードの中に、バスラとかチェイニーとか最近よく聞く固有名詞が出てきて「パウエルという人は戦争を望んでないのでは」というコメントがついていたりする。

俺は、なぜこのような本が今読めるのか不思議に思ってしまったのだが、ここで論じられているのは第一次湾岸戦争であって、引用されているスピーチを行なったブッシュ大統領は親父の方なのだ。

物事を本質から見る人の眼力は恐しいもので、ここで論じられていることがそのまま今度の戦争にあてはまってしまうので、読みながら何度もこれが10年前のアメリカのことを言っていることを忘れてしまった。

ということで、これはものすごく重要な本なんだが、その凄さが少しは伝わっただろうか?